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敷地境界の塀/フェンスについて注意すべきこと

今回、私の庭は狭小のこともあり敷地境界付近に池に作りましたので敷地境界について検討したことや注意すべきことをまとめます。

塀/フェンスを設ける、設けないについて

塀/フェンスを設けない場合

塀/フェンスは必ずしも備える必要はありません。塀/フェンスのないオープン外構の家も増えています。

塀/フェンスを設けない場合のメリットとして次のものがあります。

塀/フェンスを設置するスペースを節約できる。狭小地だと家と家の間隔が狭く、/フェンスを設置するスペースが少ない場合があります。この場合は設置しないことにより人が通れるようになるなどできます。

費用を削減できる。塀/フェンスを作るには穴を掘って基礎を作り、ブロックを積む必要があります。掘削工事が1m2あたり10,000〜30,000円程度、基礎工事が1m2あたり15,000〜20,000円程度、ブロック積みが1m2あたり9,000〜13,000円程度、合計すると1mあたり34,000〜63,000円程度となります。さらに既存のを撤去するには1m2あたり5,000〜10,000円程度かかります。

塀/フェンスを設けない場合のデメリットについては、次項を参照してください。

なお、塀/フェンスを設けない場合でも境界を示す「境界標」の設置は必要です。境界の位置について不明になった際には、境界標を結んだ線にて境界線を確認することができます。

塀/フェンスを設ける場合

塀/フェンスを設ける場合のメリットとして次のようなものがあります。

境界線が明確になる。自分のものが隣地にはみ出したり、隣地のものが自宅側にはみ出したりすることを防ぎます。

部外者の侵入を防ぎやすい。塀/フェンスがないと部外者の侵入が容易になります。敷地内を近道として使われてしまうことがあったり、自動車のUターンに敷地が使われてしまうこともあるかもしれません。

プライバシーを保ちやすい。外部からの視線を防げます。庭でガーデニングやバーベキューをする際に近隣から丸見えなのと視線が遮断されているのでは居心地がぜんぜん違います。居心地のいい庭にするためには目隠しとなる塀/フェンスを設置すべきでしょう。洗濯物を干したときにも周囲からも見えない方が居心地がよいです。

・ただし、周囲の視線を遮りすぎると、防犯上不利になることがあります。周囲からの視線が届かない場所は空き巣などに入られやすくなります。私の近所で空き巣に入られたお家は、塀や建物が密集して視界の悪いところが多いです。防犯上、視界を確保しておいた方がよいところはそのようにしましょう。

・さらに、塀が高すぎると、隣地との交流がされにくくなります。塀が低ければ、お互いに顔を合わした時に声をかけて、コミュニケーションをとることができます。隣地とのコミュニテーションもある程度は必要ですのでその余地は残しておいた方がよいでしょう。

外観がグレードアップする。建物と合う外構は建物の見栄えを引き上げ、より格調高い外観を作り出します。

塀/フェンスを設ける場合のデメリットについては、前項を参照してください。

敷地境界線と塀/フェンスなどの所有について

隣接する土地の高低差がある場合とない場合で異なります。

隣接する土地の高低差がない場合

境界線の中心に塀を設ける場合(芯積み)

隣地の所有者と相談の上、設置し、費用は等分とします。(民法第225条、226条)

メリット:費用負担が半分になる。

メリット:敷地の使える面積が広くなる。一般的な塀の幅は12cmです。自宅側の塀は6cmとなります。狭小住宅地では、敷地が狭く自宅の敷地側の塀が12cmになるか6cmになるかで通行のしやすさが変わることもあります。

デメリット:デザインの自由度が減る。塀の高さ、材質、デザイン、などお互いの要望の妥協点を調整することになる。

デメリット:改修、撤去の際に隣地の所有者と相談をすることになります。隣地の所有者と関係が悪い場合は、改修、撤去ができないことや、費用を全額負担することになる可能性もあります。

民法第225条 – 囲障の設置

1. 二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる。
2. 当事者間に協議が調わないときは、前項の囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ二メートルのものでなければならない。

民法第226条 – 囲障の設置及び保存の費用

前条の囲障の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。

なお、すでにある塀が境界線の中心にある塀は、特に所収者が明確でない場合は、共有のものと推定することになります。(民法第229条)

民法第229条 – 境界標等の共有の推定

境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。

境界線の内側(自宅側)に塀を設ける場合(内積み)

メリット:デザインを自由にできる。塀の高さ、材質、デザイン、など自分の好きなものを作れます。

メリット:改修、撤去の際に隣地の所有者と相談が要らない。いつでも好きなように、改修、撤去することができます。

デメリット:費用負担は自分。

デメリット:敷地の使える面積が狭くなる。自宅側に幅12cm程度の塀を作ります。

境界線の外側(隣地側)に塀を設ける場合(外積み)

これは隣地の所有物となります。

隣接する土地の高低差がある場合

地面の高低差がある場合は高地側の所有者が土留めをつくる。

土地に高低差がある場合は、「土留め」を「高地側の所有者」が負担します。

これはまず、土地には所有権を侵されない権利があり、土砂崩れなどで越境された土地の所有者は、妨害者に妨害の停止と損害賠償を請求することができます(民法第198条)。そのため、土地間の高低差があるときの「土留めの設置」負担も、原則として他人の占有物を妨害する恐れのある高地側に設置義務があります。

民法第198条 – 占有保持の訴え

占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。

つまり、お隣の土地の地面の方が高い場合はお隣の方に土留めや塀を作ってもらいます。自分で作るとすると自宅側の土地に土留めをつくることになるので自分の有効スペースが狭くなるばかりではなく、もしも地震などで土留めが崩れて土砂が流れ込み自宅の建物が損傷するなどしても自分が作った土留めが原因なので損害を賠償してもうらうのは難しくなります。

逆に、自分の土地の地面の方が高い場合は、自分で土留めを作ることになります。土留めを自分の敷地内に設置して、境界線は土留めの下付近になります。

土地を掘り下げた場合は掘り下げた側の所有者が土留めをつくる。

ここで、さらに複雑なのですが、車庫などのために土地を掘り下げた場合は話が異なります。

土地を掘り下げた場合は、掘り下げた方が土留めと作ります。

我が家も自動車の車庫部分を掘り下げて道路と同じ高さにしました。その際に自分の土地側にコンクリートブロック4段分の土留めをつくりました。

これは法律的には、物件的請求権の「物権的返還請求権」「物権的妨害予防請求権」「物権的妨害排除請求権」(それぞれ「所有物返還請求権」、「所有物妨害排除請求権」、「所有物妨害予防請求権」とも呼ばれる)に基づいています。

返還請求権

自己の所有する土地を他人が権原なく占拠する場合に、所有物返還請求権により、土地を取りもどすことができる。典型的な物権的返還請求権の一例である。なお、所有物返還請求権のほか、占有回収の訴え(200条)によっても土地を取り戻すことはできる場合があり、このような場合にいずれの方法によるかは当事者の意思に委ねられる。
不法占拠された土地を所有者が自力で取り戻した場合は、不法占拠者であっても占有回収の訴えにより土地を取り戻そうとする場合がある。この場合は、元の占有権の存在が争点であるから、所有権の存在を根拠とする返還請求権を抗弁として用いることはできない(202条)。ただし、所有権に基づく反訴は認められる(最判昭40・3・4民集19巻2号197頁)。

妨害排除請求権

物権者は自己の物権の実現が妨げられている場合に、その妨害を取り除くよう請求することができる。
抵当権者から抵当の目的である土地上の樹木の伐採の禁止を請求する場合や、廃棄物を不法投棄された土地の所有者が原状回復を請求する場合等がある。

妨害予防請求権

物権者は自己の物権が妨害されるおそれがある場合に、そのおそれを取り除くよう請求することができ、この請求権を物権的妨害予防請求権という。妨害が現実化しているか否かによって妨害排除請求権と区別される。

(Wikipediaの「物権的請求権」より転載)

まとめ

土地の境界に塀/フェンスを作る際には様々な注意が必要です。

塀/フェンスを作らない場合(オープン外構)は、スペースや費用は優れますが、境界線の明確化、部外者の侵入防止、プライバシー保持、の面で劣ります。

塀/フェンスを作る場合でも、防犯のための周囲からの視界の確保、隣家とのコミュニケーションの確保を考慮して設計するべきでしょう。

高低差がある場合、掘り下げの有無により、土留めの分担は異なります。掘り下げがある場合は掘り下げた側が、掘り下げがない場合は土地の高い側が土留めをつくります。

高低差がない場合でも塀/フェンスを境界線の中心あるいは自宅側、隣地側にするかでメリットとデメリットがあります。私のおすすめは自分で自由に設置、改修、撤去できる、自宅側への設置です。

また、塀/フェンスの日曜大工/DIYを考える場合は、隣地を侵害しないこと、について注意が必要です。1cmでも隣地を侵害すれば撤去したり、損害賠償を請求される、などの可能性があります。地震や老朽化も含めて考えると塀/フェンスは専門業者に依頼するのがよいと思います。

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